CONTENTS コンテンツ

腸腰筋の機能を最大限引き出すトレーニング

腸腰筋の機能を最大限引き出すトレーニング

腸腰筋は体幹と股関節を結ぶ唯一の筋肉であり、スポーツにおいて最も重要といっていいほど大切な筋肉になります。

しかし、腸腰筋は体表から確認できないことやトレーニングをしていても使っている感覚ががわかりにくいという特徴から、鍛え方がわからないという質問をよく受けます。

また、専門家でもネットやYou Tubeで間違ったトレーニング法を紹介しているものもあり、注意が必要です。

今回はその腸腰筋のトレーニングについて紹介したいと思います。

目次

 腸腰筋の解剖

   引用:プロメテウス解剖学アトラスより

 大腰筋と腸骨筋

腸腰筋は正確には大腰筋という筋肉と腸骨筋という筋肉の2つに分けられます。

大腰筋は背骨から起始し、股関節の内側の小転子という部分に付着します。

腸骨筋は骨盤の内側から起始し同じく小転子に付着します。

ここで重要なことは、大腰筋は胸椎の12番目から腰椎の1~4番目から起始しているということです。

トレーニングにも関わってくるため覚えておいてください。

 腸腰筋の作用

腸腰筋の主な作用は脚を引き上げる作用(屈曲)脚を外に捻る作用(外旋)という機能になります。

そのため、走っている際に脚を引き上げる動作の主動作筋として使われる筋肉です。

しかし、多くの選手がこの腸腰筋ではなく、大腿四頭筋といって腿の前の筋肉をメインに脚を上げてしまう傾向があります。

サッカーのキック動作も腿前ではなく、この腸腰筋が主動作筋になります。

また、もう1つ重要な作用として、体幹を脚側に引きつけるという動きの主動作筋です。これは重心落下を加速させる作用があります。

多くの選手がここに伸びしろを秘めており、身体操作のトレーニングの必要性を感じます。

今回は説明しませんが、動き出しの急加速などに必須の身体操作です。

また、大腰筋と腸骨筋をトレーニングの仕方によって使い分けることはできませんが、大腰筋の方が体幹と股関節を結ぶ役割や体幹の安定性にも関与していることから重要とされる傾向にあります。

 腸腰筋を機能させるための条件

 体幹の安定性

先程、大腰筋の起始は胸椎の12番目から腰椎の1~4番目ということをお伝えしました。

腸腰筋の活動を高めるためには、この起始部の安定性が非常に重要となってきます。

つまり、大腰筋の作用は起始部である腰を支点として、脚を引き上げるということです。

もし、この腰が不安定であり、ぐにゃぐにゃと動く状態や腰が丸まった状態では、大腰筋の機能は大きく損なわれます。

そのため、腸腰筋をしっかりと機能させるための条件とは、体幹の中でも特に腰が安定した土台として機能しなければならないということです。

そのため体幹機能が低下している選手は、腸腰筋もうまく機能しないばかりか、代償的にブレーキ筋である大腿四頭筋を過剰に使用するため、パフォーマンスが低下します。

かといって、腹筋などとにかく体幹を鍛えればよいというわけでもありません。

スポーツに必要な体幹トレーニングについても今後書いていきたいと思います。

 腸腰筋が機能しにくい選手の特徴

    引用:ヒューマン・アナトミー・アトラス(Visible Body)より

この図は筋膜のラインを表したものになります。

浅層フロントラインと深層フロントラインといって、表層が左・深層が右になります。

いわゆる浅層がアウターマッスルで、深層がインナーマッスルになります。

腸腰筋は深層フロントラインに区分されます。

この腸腰筋が機能しにくい選手の特徴として、必ずではありませんが腹筋や大腿四頭筋などの浅層フロントラインの柔軟性が低い傾向にあり

インナーマッスルとアウターマッスルの関係性が崩れ、アウターマッスルをメインとした身体操作なっている選手が多くいます。

そのため、腸腰筋の機能を高めるためには、浅層フロントラインである腹筋や大腿四頭筋、前脛骨筋のストレッチを行い柔軟性を確保しておく必要があります。

 腸腰筋の伸張反射強化トレーニング

今回は、伸張反射といってゴムのように伸び縮みする性質を利用した腸腰筋のトレーニング方法をご紹介します。

専門的にはRSSC:Rotator Stretch Shortening Cycle(回旋系伸張反射)といって、私が資格を保有しているスポーツトレーナー団体のJARTAが提唱するトレーニングになります。

JARTA URL: https://jarta.jp/

まずは、動画をみていただければと思います。

ハイプランクの肢位から、みぞおちから下を捻るように体幹と下肢を連動させることがポイントです。

腸腰筋は腰から股関節を結ぶ唯一の筋肉です。

脚を外に捻る作用があるため内に捻ることで、ストレッチをかけます。

ストレッチがかかった筋肉はゴムのように急激に縮もうとするため、脚が回転しながら屈曲方向へと導かれます。

これがRSSCを利用した腸腰筋のトレーニングです。

難易度は少し高いですが、ダッシュ力向上やサッカーのキック力向上、体幹と下肢を連動させるトレーニングとして有効になります。

連続で行うと見た目以上にきついトレーニングです。

体幹トレーニングも兼ねているため、是非行ってみてください。

 まとめ

腸腰筋は体幹と股関節を結ぶ唯一の筋肉です。

体幹の安定性股関節の駆動性体幹と下肢の連動性重心操作などに非常に重要となる筋肉です。

作用がこれだけあるということは、作用に応じたトレーニングのバリエーションも様々なものがあります。

また、競技の特性に応じてもトレーニングの仕方は変わります。

しかし、基礎の重要性は変わりません。

今回紹介した腸腰筋のRSSCのトレーニングは応用的なトレーニングにです。

腹圧のコントロールや柔軟性などしっかりと基礎的なトレーニングができてこそ効果的なトレーニングになります。

逆に腹圧が抜け、腰が反ったまま行うことで、腰痛や股関節を痛める可能性もあります。

TASKでは、あなたの体のレベルに合ったトレーニングを選定すると共に、競技に必要となるトレーニングを行っていきます。

トレーニングについてもっと詳しく知りたい方は是非ご連絡ください。