マラソンランナーに好発する腸脛靱帯炎:ランナー膝への対処法 セルフケア
マラソンランナーの膝周辺部の痛みとして、多く発生する病態として腸脛靱帯炎があります。
ランナー膝というのは、ランニングにより生じる膝周辺部に起こるスポーツ障害の総称です。
今回はそのランナー膝の一つである腸脛靱帯炎の原因と対処法についてお伝えしていきます。
目次
腸脛靱帯炎とは
まず、腸脛靱帯炎の前に腸脛靱帯とはな何かについてです。
腸脛靭帯とは、大腿部の外側を走行する薄い靱帯組織になります。
大腿筋膜張筋や大殿筋、中殿筋と連結しており、骨盤の外側から膝とを結び外側不安定性の制御を担っています。
つまり、ランナーにとって足を地面に接地した際、骨盤や大腿部、膝の安定を保つ働きをしてくれます。
しかし、走る距離があまりにも長いことや走り方の問題により、膝の外側や大腿部の外側に痛みを生じるようになります。
これが、腸脛靱帯炎です。
特に膝の外側は外側上顆と呼ばれる骨の突出部があり、ここで摩擦が繰り返されることで痛みを生じることが多くあります。
腸脛靱帯炎の原因
腸脛靱帯炎の原因は大きく分けて、下記のものがあります。
- 走る距離など量的な問題
- 走り方や足の接地の問題
- 身体の硬さや筋力不足
- ケア不足
これら問題は分けて記載しましたが、単独で起こることはありません。
例えば、いくら走る量が多かったとしても同じ練習メニューをこなす仲間は問題が無いのに、自分だけがケガをしているということがよくあると思います。
これは単純な量的な問題だけではなく、フォームの問題やケアの不足、身体の硬さなどが隠れています。
つまり、これらは単独の問題としてではなく、選手によってそれぞれの問題の割合が異なり、包括的に考えていく必要があります。
腸脛靱帯炎への対処
腸脛靱帯炎の改善のために、原因の中で最初に見直すべき問題は、ケア方法です。
腸脛靱帯炎の痛みは、走ることをやめれば基本的になくなります。
しかし、練習を再開し走り始めるとまた痛みが生じます。
それは、根本的な問題が解決されていないからです。
腸脛靱帯炎の根本的問題は走り方になりますが、走り方を変えるためには時間が必要です。
そのため最初に取り組むべきはケア方法の見直しになります。
適切なケアを行い、その日の疲労をできる限りその日に取り除くことで、回復力を高め再発を防ぐことに繋がります。
腸脛靱帯炎のケア方法
はじめはどの部位を行っても痛みが強いと思います。
その場合はタオルの硬さを調整し、痛気持ちい範囲で行うようにしましょう。
また、基本的には股関節から膝関節まで全体的に行う必要がありますが、炎症が起きている部位は避けても大丈夫です。
炎症が起きていない部位をほぐし柔軟性が高まることで、炎症が起きている部位の負担も軽減してきます。
腸脛靱帯炎に必要なストレッチ
腸脛靭帯は、上記で解説したとおり、大殿筋や中殿筋、大腿筋膜張筋と連結しています。
これらの筋肉の柔軟性が高まることで、結果的に腸脛靭帯の負担軽減になります。
腸脛靱帯炎に必要なトレーニング
腸脛靭帯と連結している大殿筋や中殿筋は骨盤の動揺を抑える働きがあります。
そのため、これらの筋肉の筋力低下は腸脛靭帯への負担を増強することに繋がり、鍛える必要があります。
まとめ
腸脛靱帯炎は、ランナー膝の一つで長距離ランナーに多いケガです。
痛み自体は安静により改善しますが、大切なことは再発を防ぐことです。
今回は再発を防ぐためのケア方法、ストレッチ、トレーニングをお伝えしました。
しかし、これで再発が完全に防げるとは限りません。
なぜかというと、根本的な走り方の問題が解決していないからです。
同じ距離、量であれば問題ないかもしれませんが、さらなる成長のため走る量を増やせば再発する可能性は高いといえます。
また、腸脛靱帯炎になる問題が別にある可能性もあります。
今回紹介した筋力や柔軟性に問題はないのに痛みがある場合は、体幹や足首など他の部位に問題がある可能性があります。
そもそも、腸脛靱帯炎を呈するランナーは長距離を走るための身体機能に問題があるため、決して効率の良い走りができているとはいえません。
ランナーに必要なパフォーマンスを高めるためにも一度専門家に相談しコンディショニングやトレーニングを受ける必要があります。
腸脛靱帯炎でお困りの方、ランニングフォームでお悩みの方、ランニングに必要な身体パフォーマンスを高めたい方は、下記連絡フォームより是非ご相談ください。